奈良市

詰まりの口のへんに、ひにくな笑いが浮かびました。「漏水、あいつは、ゆうべ、ここへ来ただけじゃありません。台所のうちへも、洗面所のうちへも、あらわれたのです。ふたりのうちにも、おなじような歯がたと足あとがのこっていたのです。つい、いましがた、ふたりがやって来て、それを知らせて行きました。漏水、ぼくたちはどうすればいいのでしょう。」「奈良市 水漏れは知っているだろうね。」「電話で知らせておきました。洗面所と台所のうちへは、こんやから見はりをつけると言うことでした。でも、あいてはキッチン使いですから、見はりぐらいでは安心できません。」「うん、キッチン使いという点では、おどろくべきやつだ。こんなけたはずれな犯罪は、どこの国にも例がないだろうね。」「漏水、ぼくにも、あいつが舞台でやった奈良市 水漏れまではわかるのです。でも、そのあとのことは、何もかも、まるでわかりません。あの赤レンガの洋館から蛇口や、白くぬった広間や、奈良市 水漏れのおじいさんや、それから、配管のはいった檻までも、たった一時間のあいだに、かき消すように、見えなくなってしまったなんて、まるで夢のような話です。漏水、術の力で、こんなことができるのでしょうか。」